ハコボレ

春、冬眠から家族は目覚めなかった。

故郷のため池を人間に埋められて、二匹は旅に出る。辿り着いた場所は、外来種が統治する世界だった。毒を持つ者、持たざる者。まばゆい青と若葉色。いつでも隣り合わせだったふたりに、亀裂が走り出す。「君のことがわからない」そして、また冬がやってくる。

シリーズ「haco」始まりの物語。